患者の死に寄り添う。ターミナルケアの具体例

ターミナルケアとは、病気で死を目前に控えている人や、認知症、老衰で残された時間がわずかな人たちの生活の質を向上させることを目的にしたケアのことである。病気の終末期を迎えるときに、そのまま治療を続けて延命を行うか、それとも治療をやめて精神的な平穏を選択し、人生を充実させるかを選ぶことから始まる。

ターミナルケアの具体例としては、主に3つが挙げられる。1つ目は精神的なケアだ。近いうちに訪れる死に対して、不安が大きくなりすぎないようにケアを行う。ベッドの周りに好きなものを置いたり、側に家族や友人が寄り添ったりするなどして、できる限りリラックスできる空間を作る。2つ目は肉体的なケアだ。身体に痛みなどの症状が出る場合は、投薬することで痛みを和らげる。また、食事が喉を通らなくなり、点滴や管で栄養補給をしたいという意思があるのであれば、そのような処置を行うこともある。入浴や清拭で身体を清潔にしたり、爪を切ったりすることも気持ち良く過ごす上では重要である。

最後は社会的なケアだ。社会的ケアでは、医療費にまつわる問題に対する不安をいかに和らげるかがポイントだ。経済的な問題が患者さんの重荷となり、自分は死んだ方が良い存在だと思ってしまうことも中にはあるのだ。このようなプレッシャーを感じさせないためにも、患者さんと家族がコミュニケーションをとりつつ、必要であればソーシャルワーカーなどの専門家にアドバイスをもらうように患者家族に伝えることが大切である。